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神を降ろす鎌とは?諏訪大社下社の遷座祭

諏訪大社の下社には春宮と秋宮の二つがあります。1年に2回、神様はその二つの神社間を移動し鎮座する場所を移します。その神事が2月1日と8月1日に行われる遷座祭です。特に8月の遷座祭はお舟祭りとも呼ばれ、氏子達が乗った巨大な舟を引っ張り、市中を曳きまわす盛大なお祭りが行われます。

 

しかし、ここはあえて地元の人くらいしか行かない2月の遷座祭をレポートします。下社の春宮・秋宮の2つの神社で行われるこじんまりとして厳かな儀式ですが、これが意外に面白かったので、写真だけでもご覧ください!

 

遷座する神様は八坂刀売神(ヤサカトメノカミ)です。この神様は諏訪大社上社の御祭神・建御名方神(タケミナカタノカミ)の姫神です。タケミナカタは「国譲り」の神話の中で、タケミカヅチという神様にコテンパンにやられ諏訪に逃げこんできた神様です。諏訪から出ないことでタケミカヅチの許しを得たと伝えられています。

 

上のような説明が一般的にされていますが実は諏訪明神の正体はっきりとは分かっておらず諸説あるようです。諏訪明神=タケミナカタとされたのは室町時代頃に書かれた諏方大明神画詞(すわだいみょうじんえことば)にこの説が採用されていたことが大きいようで、諏訪明神の信仰が始まってからかなり時代を下った後の話のようです。その辺の諏訪の信仰について最高にわかりやすく詳しく書いてある本があるので興味ある方はどうぞ↓。諏訪大社に興味ある人は絶対に面白いと思います。おすすめです。

『諏訪の神さまが気になるの』 北沢房子

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前置きはこれくらいにして遷座祭の様子はこちらです。

午後1時、秋宮の幣拝殿前で神事が始まりました。

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続々と神職の方が現れます。氏子や参列者が続き、幣拝殿の前に整列します。

 

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幣拝殿前で清めの儀式や祝詞の口上が30分ほど続きます。祝詞の間はずっと頭を下げていないといけないので、結構しんどかったです。

 

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一通り終わると神輿担当の氏子たちが幣拝殿の奥へ入っていきます。

 

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矛や旗を持つ担当の氏子たちは、それぞれ担当の物を手に取って行列の準備に入ります。想像より重かったようで、よろよろして倒しそうになってる人もいました。

 

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こちらは「薙鎌(なぎがま)」です。

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独特な鳥のような形をしたこの薙鎌は諏訪大社の神事には欠かせない神器です。本来は柄の部分がついていない状態で使われ、この鎌を下の写真のように木に打ちつけると諏訪明神のご神威が宿るとされています。人が乗った大木を坂から滑り落とすことで有名な御柱祭で使われる神木も、この薙鎌を打ちつけ諏訪明神を宿した後に切り倒され祭りに使われるのです。

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(写真は守矢資料館のモニュメント。薙鎌が刺さっているのがわかるでしょうか。)

また薙鎌の薙(なぎ)は「凪(なぎ=風のない状態)」に通じるともされ、薙鎌は風をバラバラに切り、暴風雨をおさえこむ力があるとも伝えられます。昔の人にとって天候は農作物の出来を大きく左右し、生き死にに直結する問題だったためこうした神器や神事が生まれ、神様の力にすがったのではないでしょうか。

 

幣拝殿の奥からいろいろなものを担いで氏子の方々が出てきました。

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こちらは御正台(みしょうだい)。二基あり、行列していると地元の人がこの神輿におひねりを投げ込んでいました。

 

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近くで見るとこんな感じです。

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小さな鳥居の下にかけられた生地には龍と雲が刺繍されていました。

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こちらのかごの中に入っているのは御篋(おはこ)。中が何かは不明。声が掛けれれば神職の方にいつか中身を聞いてみたい。

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こっちは春宮からの帰り。空になっているのがわかります。春宮の宝殿におさめる何かを運んでいたようです・・・。

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そしてこちらがメインの御霊代(みたましろ=御神体)を載せた御神輿です。豪華絢爛な、いわゆる御神輿とは違い、その棺のような外観は見る者の心をひきつけます。

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神輿にかぶさった布地の柄は「梶の木」。諏訪大社の神紋です。根が5本が下社、4本が上社の神紋です。

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いつもはまん中にはお賽銭箱が置かれているこの神楽殿ですが、遷座祭では御神輿が突っ切ります。(下の写真は普段の様子。)

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短いですがこれが、神輿が神楽殿を突っ切る様子です。


諏訪大社下社。2月の遷座祭。秋宮の神楽殿を突っ切る様子。


そのまま秋宮の鳥居をくぐり、下諏訪の街にくり出します。

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こちらは普段の駅前の大通り。ここを下って春宮に向かっています。

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下っていく様子。

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春宮から800mほど離れたところにある大鳥居。

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こちらは「下馬橋(げばばし)」

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修繕はされていますが、室町時代の建築で諏訪大社4社の中で最も古い建造物です。その名はどんなに身分の高い人でも参拝の際には、馬を降りて渡った橋とされることに由来します。道端に唐突に現れているように見えますが、今も橋の下を暗渠が流れています。

 

遷座祭の日には上の写真に見える柵が外されます。行列はよけて歩きますが、御神輿はこの橋の上を渡って行きます。

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いいなぁ。

 

そして秋宮を出て4,50分ほどで春宮に到着。

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秋宮と同じように普段はしまっている神楽殿も、この日は神輿が突き抜けていきます。

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(↑普段の神楽殿。)

 

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 突っ切る。

 

神楽殿を抜けそのまま幣拝殿の中へ。

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あとは、再び神事が始まり、祝詞が口上されます。中の様子は見えないのでどんなことをしているのか見ることはできませんでした。残念。ですが、祝詞を聞いているだけで清々しく心が洗われていくような気がしてきます。

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見えないところで何かやっています。

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神事終了後、幣拝殿の普段空いていない戸が開いていたので、そこから御宝殿を撮影。何やら神事はここで行われていた様子。神宝などが納められている場所のようです。諏訪大社に本殿はないので、ここが春宮の心臓部といったところでしょうか。

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儀式が終わったら再び御神輿は秋宮に帰っていきます。

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神様はもう春宮に鎮座されたようなので、秋宮までは同行せずお見送り。次は8月1日のお舟祭りに必ず来ますと誓って、そのまま下諏訪駅に向かいました。下諏訪駅の構内から富士山が見え、神事の余韻と相まって、何とも崇高な気分で家路につきました。

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以上、2月の遷座祭のレポートでした!

長くなりましたが、最後までご覧いただきありがとうございました!